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新英語教育研究会神奈川支部HP

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年間計画:高校S先生+N先生 

■新英語教育研究会 神奈川支部会報 No. 76 May7, 2000
■4月例会報告 4月15日 大倉山記念館にて 参加者:9名
★特集「年間計画を考える」
●実践報告(高校):「高校教科書Vista?を使った年間計画」
◆授業の骨子・肉付けを系統立てて考えながら、生徒の実態を踏まえた「地に足の付いた」年間計画です。それでいて且つ、理想を見失わないS先生らしい報告でした。
(1) 単位
1年:英語?   4単位(2単位ずつ2人で分割担当)『Vista?』三省堂、副読本
2年:英語?   4単位(2単位ずつ2人で分割担当)『Vista?』三省堂
3年:英語?   2単位『Vista?』三省堂 オーラルA 2単位『Talk Up』啓林館
   選択2単位:オーラルB『Echo』三友社/Visual English/英語?
・常勤6人・非常勤1人・PFT(オーストラリア人)で担当。選択科目は少人数。
(2) 立て方
●年間計画の立て方
(1) テキスト全体を通読し、骨子を立てる:春休みにテキスト全体を通読、余裕を考えながら
 取り上げるレッスン数と割愛する課を決める(年間計画を立てておけば、ビデオ・ニュースに
 情報のソースを見つけやすい/以前に時間が足りなくてできなかった、教科書の後半「風と
 共に去りぬ」の課をやって欲しかったという生徒の要望もあり、年間計画の必要を実感!)
(2) 順番を決める:話題性、生徒の関心、文章の面白いものを選び、取り上げる順番を考える
(3) 自主教材を入れる余裕を!:無理ないペースで(試験は遅いクラスに合わせて作成)。
●図書館で購入している『週刊スチューデントタイムズ』を利用
 例)ビックリするような写真:顔中ピアスをしている英国女性の写真とピアス規制の動き
 (「ピアスも行き過ぎるといけないね」と生活指導を少々からめてコメントした。)
 例)印象深いコメント:俳優Roger Mooreがユニセフ親善大使の活動を評価され、
  アンデルセン賞を受賞:
   You have two hands; One for helping yourself, the other hand for helping others.
 (人には2本の手がある。ひとつは自分のため、もう片方は他人に差し伸べるためにある)
(3) 年間計画
●教科書『Vista?』三省堂
4月: Why Donユt You Enter a Triathlon? トライアスロンの魅力
5月: Aboriginals オーストラリア先住民
6月: 作文 My Favorite Country and Sport (pastime)
9月: The Old Man and His Grandson グリム童話から人の心の持ち方を考える
10月: We Are All Islanders パラオの自然の中で暮らす人々と現代文明を考える
11月: Van Gogh ミ A Japanese Dream 日本に憧れたヴァン・ゴッホと芸術
12月: 作文 Poems and Haiku with Pictures
1月: 作文 My Dream
●自主教材を組み合わせる(教科書とタイアップ・時事的なものを取り入れて関心を高める)
4月: スポーツ記事から有名選手のコメントを紹介
5月: オーストラリアのスライド・ビデオ
9月: シドニーオリンピックの映像
1月: キング牧師の演説ビデオ
(4) 指針
(1) 計画の前に、生徒の実態を知る:アルファベットや自分の名前が書けるか?/基本動詞・
 語彙の定着/生活に密着したことばやカタカナ語を教える。例えば、野球で「キー」という
 用語があり、ブロックサインを送る際、ある箇所(=キー)を触ったら、次に触った箇所の
 サインの作戦になっている。「キー」がアゴだったら、アゴに手をやったら次に触った帽子の
 つばのサイン[例えば、スクイズ]が指示となる。ある生徒は「キーって、カギのことだっ
 たんですね!」と知って驚いていた。(野球部顧問のS先生らしいエピソードですね!)
 ローマ字のつづりを教える(ワープロで「キャ」をkyaが打てない生徒がいた)
(2) 年間を通した目標:話題性、生徒の関心、文章の面白いものを選び、取り上げる順番を
 考える[『少年ジャンプ』連載でアニメになっている「ワンピース」(大航海時代をモチーフ
 にした冒険マンガ)など、生徒の関心のあること、好きなことにもアンテナを拡げる]
 生活習慣、姿勢、考え方:テキスト・ノート・筆記具を持ってくる/雑誌、CD、弁当など
 を授業中に出さない/他言語・自分の言葉・他人の言葉に敏感になる/異文化を理解し、
 日本文化と比較できる
(3) 年間計画ができたら、定期テストまでの計画を立てる:2単位の場合、2ヶ月で9~12
 時間ある。プリントのファイリング・張り付けを指導。
(4) 月間計画ができたら、週間予定を立てる:アメリカの教員は机上に大きく、曜日・クラス・
 週間予定表が置いてあって、他の人が代行できるようになっていた(見習いたいですね)
■参加者から出された感想
 □Sさんの話を聞いていて嬉しくなった。「英語がいちばん要らない子たちですね」「いいえ、英語が必要な子たちです!」 本当に大変な学校での授業実践に頭が下がる。大変な授業を日々繰り返しているのに、今日のS先生はやけに輝いていた。
 □さすが百戦錬磨の4人のレポーター方たち、それぞれの個性が出ていてとても面白く聞きました。これからの1年間の授業に様々なヒントが得られ、大いに勇気づけられました。
 □4本、レギュラーメンバーの強力なレポートでだんだん目の覚める重いです。前回のインターネットを聞き逃した! と思っていましたが、今回は予定を変更して参加できて「儲かった」。「自分より生徒の声を聞く時間を」「(授業計画は)月ごとから週ごとへ」「コミュニケーションを使って、メッセージには歌はよい」「高速アウトプット」などが印象に残った。


●実践報告(高校):「高校教科書Polestar?を使って」
◆昨年度の1年間を振り返って、今年度の授業計画を考えていただきました。オーラルイントロダクションやビデオを使い、新英研や神奈川の例会の活動で培った指導技術といつでも生徒の声を生かした授業を心がけているN先生らしい報告でした。
(1) 授業
●『Polestar II』(数研出版)2年生。週5時間。
・すべてのレッスンでOral Introductionを実施。「通訳者になったつもりで」と小さな紙を渡し
 て聞き取ったことをメモするように指示。
(2) 昨年度
●1学期:中間テストまで
L1: Rascal the Raccoon あらいぐまラスカル(女生徒の評判良い)
●1学期:期末テストまで
L2: Aboriginal People and Their Paintings オーストラリア先住民
・先住民としてアイヌ人のことも触れる
・オーストラリア大使館の資料が役だった
・ALTが先住民の楽器「リジュリド」を弾いてくれた。
生徒の感想=自然に対する先住民の考え方が少し理解できた
●夏休み:修学旅行の事前学習で三友社の「沖縄」の教材を使用、「夏休みについて」の作文
●2学期:中間テストまで
L3: Bob Geldolf and Live Aid イギリスのアフリカ飢餓救済キャンペーン
・歌メDo They Know Itユs Christmas?モを紹介。
・ビデオでメWe Are the Worldモ メImagineモを後から見せたので、生徒は食い入る
 ように見ていた。
生徒の感想=一人の思いつきから、こんなに世界を動かすことになるとは、
      素晴らしいことだ。
●2学期:期末テストまで
L4: Being Original 日米のものの見方の相違(討論の意義が書かれている)
・アメリカの学生との比較しながら、生徒から教師批判、自己批判があった。
●冬休み:英語の歌、「冬休みについて」の作文
●3学期:期末テストまで
L5: In Memory of Ryotaro Shiba 司馬遼太郎のエピソード
・テレビ「知ってるつもり」で司馬遼太郎を取り上げたビデオを始めに見せた。
(参加者からは「ぜひ8課の職業選択をテーマにした文章を授業でやって欲しかった」という意見があった。また同学年で担当していたもう一人の先生も7課までしかいかなかったとのことで、「5単位の進度にしては遅すぎるのでは?」という意見があった)
? 反省 ・生徒の能力に教科書があっていなかった。
・「英語が嫌いな生徒、英語が分からない生徒に教えることの喜びを最近感じない。英語を学ぼうとしない。それは健全なことなのかも知れないと思ったりもした。「英語が必要だ必要だ」と叫ばれている中で、仕方なく学習する大多数の人がいる一方で、嫌いなら、やらないでいいと思い始めている生徒もいる。その意味をどう考えたらいいのだろうか。」
 (?このN先生のつぶやきには、「編集後記のコーナー」で考えてみたいと思います)
(4) 今年度
●『English 21 II』(東京書籍)
意味の区切れをスラッシュで行い、なぜ区切れるかを考えさせる/グループ同士で英語で問答させる・話す機会をつくる(自己紹介・Show & Tell・キング牧師のスピーチに挑戦)



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